日本の自動車メーカーによる対中国輸出は順調のようにみえるが、一方で黄信号も見え始めている。

各国の外資系自動車メーカーによる価格競争の結果、消費者はさらなる値下げを期待してしまい、買い控えが目立っている。その結果日本の対中国輸出台数は10ヶ月連続の2ケタ減で、2005年3月は前年同月比65.8%減(日経産業新聞)。中国輸出に依存する経営を見直さざるを得なくなっている。金額ベースでは輸出入ともに増加傾向にある。

このことは一見中国の新車市場拡大に対する阻害要因のように思えるが、日本企業の中国における勢い、または中国新車市場そのものの拡大を妨げるとは思えない。

日本や世界の自動車メーカーは徐々に生産拠点を中国に移しつつあり、自動車のみならずこの傾向は強い。昨年だけで約600億ドルが直接投資され、中国の生産能力は高まってきている。現地で生産して現地で売る、もしくは中国国外へ輸出するといった戦略に各社ともシフトしてきており、輸出が伸びなくなっているからといって日本のメーカーの力が弱くなったというわけではないのである。

さらに、2005年7月に入って消費者による買い控えは落ち着いてきたようだ。しばらく値下げは期待できないと踏んだ消費者が徐々に新車を買うようになってきた(日経産業新聞b)。

また、一般にはあまり知られていない要因として、中国政府の事実上の輸入制限令というのがある。というのも、政府が「輸入車は中国国内で生産されていない高級モデルがふさわしい」としたらしいのである(カー・アンド・ドライバーb)。

そのため各国の外資系自動車メーカーはこぞって高級モデルの車種を輸出したが、前述のように大多数の消費者は低価格なモデルを好む。ここでメーカーと消費者の間にすれ違いが生じ、対中国輸出台数が落ち込んでしまったとも考えられる。

ただし中国という国の魅力は、今までは買い手市場と生産拠点という2点にあった。このうち生産拠点としての魅力は引き続き保たれるものの、買い手市場としてはさすがに色あせつつある感が否めない。いずれにせよ日本の企業は対中国経営を一度見直さなければならないタイミングに入ってきているのかもしれない。