堅実に拡大を続けると思われている中国新車市場も、2004年に入ると多少の鈍化をみせていた。背景にはいくつかの要因が横たわっている。

まずひとつめは自動車ローン問題である。中国における自動車ローン利用率は欧米諸国に比べるとそれほど高くはなかったが、ある程度利用者は多く、新車を買おうとする消費者の動機付けになっていたといえる。ところが政府がGDP伸び率を安定させるために行った金融引き締め政策により、金利が上昇し、利用者は年毎に減っていく状況となった。(能村)

このことに加え、自動車ローンの査定方法に不十分なところがあり、貸し出し残高の5割程度が不良債権化してしまった。中国で販売されている新車は日本人のわれわれから見ても割高になっており、賃金水準がさらに低い中国の大衆がそれでも購入していたため、無理な融資になっていたのである。

その結果これ以上貸せないという状況に陥り、そして融資をしてくれる先を失った消費者は新車購入に踏み切りにくくなってしまったのである。したがってこうした理由からも自動車ローン利用率は下がっていってしまったのである。

市場拡大を阻害する要因の2つ目は、道路事情だ。上で中国の道路総延長は世界有数レベルと書いたが、道路敷設による将来的な市場拡大は望めても現状では道路が足りなすぎる。中国では道路渋滞が日常化し、特に都市部では顕著になっている。道路渋滞があるということは、インフラという観点から増加する保有台数の受け皿がないということである。渋滞により消費者が自動車利用を避けるようになってしまえば販売台数の増加は鈍ってきてしまうはずである。